ボクはお金がない

なんか、本当にお金がない。

いや、リアルでの話ではなく、FF14での話である。

「なら、リアルでは潤沢にお金があるのか」と言われれば、「いや、そういうワケぢゃないけど……」となるのだけれども、仮にリアルの窮状をココでいきなり吐露されても、多くの方は困ると思うので、ゲーム内での話に限定する。

特に「Shinry」に来てから「金策」などというものは行ったことはなく、もっぱらの収入源はクエストやF.A.T.Eなどの報酬で生計を立てていた。リテイナーで出品をしたことなど、毛ほどもない。

これまで、特に自身のお財布事情など気にもしていなかったが、召喚士がLv.55をむかえ、「ドラゴンズエアリー」に挑もうかというとき、「さすがに、IL115の武器ではダメだろー」と思い、お財布を見たときに愕然とした。

手持ちが、15万ほどしかないのである。

「これは、一体……」としばし呆然とした後、改めて考え直してみれば、これまで「モンク」や「忍者」、「機工士」がLv.50をむかえた際に、マーケットでIL115のHQに装備を一新し、ゴリゴリにミラプリをしていた……その結果であろう。

明らかに薄くなったお財布を見ながら憔悴しきったボクに対し、キミは吐き捨てるようにこう言うだろう。「それは、キミのムダ遣いが原因ぢゃねーか」と。

だが、ボクにだって反論はある。キミの胸ぐらをつかみ、涙交じりでこう答えるだろう。「これがムダ遣いだって? なら、モチベーションは!? ボクのモチベーションはどうやって保っていけば良かったんだ!?」と。

勢いよくつかんだキミの胸ぐらを、そっと力なく離しながら遠くを見つめてボクは続ける。「最初は楽しかったんだ……。これまで細切れに配信され続けたメインシナリオを一気見できるコトに」。

瞳に後悔とも諦めともつかない色を湛えながら、うっすらと口元に笑みを交えてキミを見つめる。そしてボクはこう続ける。「ハハハ……たしかに、海外ドラマのDVDを一気に見るのと同じ感覚に似ているかな。話の内容はかなり昔のものだったし、よく覚えていなかったって言うのもある。確かにボク自身もそれに酔っていたのかもしれない……」。

205

「だが、イシュガルドに話が移ったところ、どうだ!?」。突然に“心の叫び”ともとれる咆哮にも似た声でボクはそう告げると、テーブルに拳を打ち付ける。静寂の中でテーブルに置かれた食器が揺れる音だけが響いている。

「覚えているんだよ……。そう、話の内容を。しかも、しっかりと。同じ話を記憶が鮮明なうちにもう一度見せられているんだよ。それが2周目の苦悩さ。2週目の苦悩だったん……」。話の最後は嗚咽と混じり、鮮明には聞こえなかったであろう。椅子の上でうなだれるボクの目には、再び涙があふれ、声は苦渋に満ちていた。

ひとしきりうなだれた後、なにかしらの意を決したかのように立ち上がり、ボクはキミに背を向ける。そして、「そこで出会ったのが“ミラプリ”だったんだ……」、そう話を続けた。

天を仰ぎ、「“ミラプリ”はいい……」と噛み締めるようにボクはそう告げると、キミに視線を戻す。「“ミラプリ”は、自分の好きに衣装を変えられる。そう、まるで自分自身が別人であるかのように……、いや、『ボク自身が理想とする自分』になれたんだ!」大げさな身振り手振りを交えて、ボクは“ミラプリ”の良さを伝えた。

その後、まるで糸の切れた人形のようにボクは動きを止め、こう吐き捨てた。「なれた……つもりだった……」。

「理想的な姿でなら、2周目も苦ぢゃなかった……。コレならいける……ボクのなかでの不確定要素が確信に変わった気がしたんだ……」。そう言い終えると同時にボクはくずおれ、床に両手をついた。その両手の甲に、もう出し切ったと思っていた涙の粒が落ちる。

おそらく、キミは心配してボクに手を差し伸べるであろう。だが、ボクはその手を振り払い、こう言うであろう。「だが、現実はどうだ!? 金を積み、姿が変わったところで、ボク自身が変わったワケぢゃないんだっ! でも……でも……一度味わってしまったその虚飾にまみれた人生から抜け出すコトも、現実に踏み出すコトも……ボクにはできなかったっ!」

「怖かったんだよ……現実が……。何者でもないボク自身を見つめるコト自体がっ!」。絞り出すようにボクは、その心境を吐露するのである。

「なら、金策しろよ」って話なのだろうけれども、「そんなものは、Lv.60を越えた老後の余暇の潰し方であり、今、完全に成長期であるボクの仕事ではない」のである。

クエストで装備をもらえるのではあるが、Lv.55の「ドラゴンズエアリー」に行く前の装備は、すでに「機工士」で取得済みなので、それをあてにはできないのである。

なんとか、「ドラゴンズエアリー」さえ越えてしまえば、またクエストで装備がもらえるかもしれない。もうそれに賭けている。何度いっても、「ソーム・アルガチャ」がひけないからである。

206

寝床にかえり、枕を抱きながら、「ああ、なんか翌日には、『わたし、シャスティン・ビーバーが親戚なんです。あなたの生活を面倒みますよ』みたいなご婦人があらわれないかな」みたいな空想をしていると同時に、「なんか、発想がクズだな」って印象は認めざるを得ない。

 

 

Pocket

Author: helio Shinryuサーバーで、ララフェル召喚士として、がんばると決めた! 「FF14 BLOG ANTENNA」の運営もがんばっちょりまっする!

2 Responses to "ボクはお金がない"

  1. さくら
    さくら 8年 ago .返信

    カンストしてないからG8地図も行けないし難しいよねー。
    ジャスティンの親戚でもなんでもないから、お世話は出来ないけど。
    貸すよw
    ほら、高利貸しからの借金返済ストーリーとか書けるかもしれないし。。

    真面目な話、何がいいのだろう。
    攻略手帳や週間のモブ狩りなのかな。
    それならレベル上げと平行出来るかな。
    あとテレポ券を使うとか、支出を押さえるのもおすすめ。

    • helio
      helio 8年 ago .返信

      そういって、高利子でワタクシのケツの毛までむしり取っていく気ねっ!
      みたいな、ウシジマくんみたいな話を期待されても……。

      わかってはいるんすよ。時間さえかければ、ギルを得られる手段を!
      時間さえ……時間さえかければ……っ!

      もう、さくらさんに寄生しながら生きていこうかなって思ってます!(クズ宣言

コメントを残す